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心が触れ合うとき

今朝突然降りてきたアル桜妄想。
文章力皆無。文字の羅列のみ。

元ネタ
若き数学者のアメリカ (新潮文庫) 藤原 正彦(著)


一般人設定
桜…アメリカの大学に留学しにきた大学生。留学期間を終え帰国の日が迫っている
アル…大学の同期生。桜とは同期生として大学内で同じ講義を受けている程度の友人関係。


寒い冬の夕暮れ、桜はルームシェア先に帰宅する途中、大学の前で偶然アルフレッドに会った。
彼は同じゼミのメンバーで、いつもリーダーシップをとっている頼りになる存在だった。留学生にも分け隔てなく接することを心がけているようで、桜にとっては信頼できる友人だったが特に親しい間柄というわけではなかった。

「やぁ桜、そろそろ帰国するって聞いたけどいつ帰るんだい?」
「こんにちは、アルフレッドさん。明後日の飛行機で帰ることになりました。」
「明後日だって!?そんなに急だったなんて全然知らなかったよ。誰か空港まで送っていけるやつはいるのかい?」
「エミリーとジェシーが送ってくれるそうです。」
「そうか、それなら良かった。」
桜はうつ向いたまま次の言葉を探していた。

アルフレッドはいつもの調子で明るくたずねた。
「アメリカはどうだった?楽しめたかい?」
「ええ…」
アルフレッドは複雑な表情で微笑む桜を不思議に思ったが、彼女が何か言いたげなのを見てとって助け舟を出すつもりでさらに明るく話続けた。
「もしかして、楽しくなかった?」
「いえ…そうじゃなくて。楽しいことはたくさんありました。友達にも恵まれたしルームメイトともうまくやれてたし…」
「良かったじゃないか。」
「ええ…」

少しの沈黙の後、意を決した様子で桜は話し始めた。
「でも貴方には本当の事を言います。本当は辛いことの方が多かった。やっぱり私にはまだ英語での授業は難しかったし、ご存じの通りディスカッションは大の苦手でした。それに街を歩いているとすれ違いざまにパールハーバーの事を攻められたりして、まだ戦争は終わってないんだなって思いました。」

自分が想像していなかった桜の体験に驚いたアルフレッドは、申し訳なさそうに頭をかいた。
「そんなことがあったのかい?心ない人がいるんだな。君が悪いわけじゃないのにな。」

慌てて顔を上げて桜は笑顔を作った。
「あ、でも親切な方にもたくさん出会えましたから、もういいんです。ごめんなさい。変なこと言って。」

「いや、もっと君の話、聞きたかったよ。」
嬉しそうに桜は微笑んだ。つられてアルフレッドも笑う。

「あの…短い間でしたけどありがとうございました。貴方が私と話すときだけゆっくり話してくださるのが、私、とても嬉しかった。親切にしてくださって本当にありがとうございました。」
桜は改まったように頭を下げてお礼を言った。

急に頭を下げられて照れるアルフレッド
「お…俺も君と会えて日本が好きになったよ。今まで日本と言えばニンジャとニンテンドーとトトロしか知らなかったからね!」
「ふふふ」
「はははは」
二人は笑いあう。
お互いいつも通りの同期生の反応に、すでに別れが迫っていることをつい忘れていた。

雪が降ってきた。

「雪が…」
桜の黒い髪に積もった白い雪を見て、その雪とうつ向く桜の赤い頬が綺麗だなぁと思ったアルフレッドは、無意識に桜の髪に付いた雪を右手でそっと払った。

友人の優しい仕草に桜の胸が熱く締め付けられた。
急に触れられた驚きと別れの寂しさや留学中のたくさんの思いが混じりあい、たまらなくなり、鼻の奥がつんとし、涙で視界が滲んだ。そして桜はそっとアルフレッドに近寄った。
どうして欲しかったわけではないけれど、まるで体を寄せ合って雪の寒さを和らげようとする人の本能のような不思議な気持ちで静かにアルフレッドの胸に顔をうずめた。

自分の胸に身体を寄せた桜にアルフレッドは驚いた。しかし彼女の髪に積もる雪と小さく震えるその体を自分の腕の中に包み込みたいという衝動に駆られ、友人同士のハグだとは言い訳できないほどの力で強く彼女を抱きしめた。

長い時間二人とも言葉なく、ただ静かに抱き合っていた。

「…降りだしたね。寒いかい?」
「ええ、少し」

桜もアルフレッドも、なぜ急にこんなに切ない気持ちになったのか自分でもわからなかった。
その切なさは友人との別れの悲しみのせいだけではなかった。
抱きしめ合っている間、桜もアルフレッドも別れが迫っていることを忘れていたのだった。

ただお互いの心臓の音を聞き、お互いを静かに温めあうような、そんな気持ちだった。

しばらく抱きしめあった後、我にかえったように桜がアルフレッドの胸に埋めた顔をあげた。
「…そろそろ帰りますね。」
アルフレッドはハッとして、それからゆっくりと彼女の体を解放した。
「送って行こうか?」
「いえ、まだ明るいし大丈夫です。」
アルフレッドは彼女に何か言うべき事がある気がしたが、うまく言葉が出てこなかった。
いつもあけすけにものを言い、討論することが大好きな自分がこんなふうに言葉に詰まることがあるなとどは思ってもみなかった。

少しの間のあと、そんな自分を振り切りように明るく言った。
「また会おう。もしまたアメリカに来たら大学に顔だしてくれよ。俺きっとまだいるからさ。」

「はい、そうしますね。」
いつも通り静かな微笑みで彼女は言ったが、アルフレッドはもう二度と彼女には会えないような気がした。

最後に何か言葉を送りたかった。
もっと話を続けて桜を引き留めたい、せめて今日の別れの時間を少しでも遅らせたい。
何でもいいから話し続けなければ、彼女は日本に帰ってしまう。
焦れば焦るほど喉がつかえて言葉が出なかった。

先に口を開いたのは桜だった。
「…じゃあ、お元気で。」
「あ、ああ。」

桜はマフラーに顔を埋め、逃げるように小走りで去っていった。
アルフレッドも歩きだしたが、すぐに振り返り走って行く桜の小さな背中を見送った。
そして彼女が曲がり角を曲がり見えなくなってしまうまで見つめていた。












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by ookuma-koguma | 2015-01-29 14:18 | ヘタリア | Comments(0)

W桜のアルサンド

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アルっていつもホモホモしくて、こういう絵ってあんまりないよね?
ということで描いてみた。
ちょっと体格差つけすぎたか・・・ああもう難しいな!

桜ちゃん二重人格設定。
日帝ちゃんが妹の姉妹設定でもいいかも。
「妹に獲られちゃう!」みたいな。
あと、アルの赤いネクタイもたぶんあんまりないと思う。
それからムッチリふとももを目指した。
桜ちゃんの軍服の下はサラシだ。乳バンドなんか絶対しないからね。
へ?サラシ巻くほど胸がない?・・・そういうこと言うなばかぁ!
本当はそこそこあるけど着物着るから日頃は無理につぶして隠してるんだよ!
脱いだらすごいんだよ!
それにしてもこの状況、アルならどっちを選ぶかな~と想像しながら、もしアーサーサンドだったら彼は迷わず2人いっぺんに相手すると思った。
べはははは!って言って。

そういえば前に「W桜の味音痴サンド」ってタイトルつけた絵を描いたけど、
良く考えたら「タマゴサンド」とか「ハムサンド」みたいに中に挟んであるものを〇〇サンドっていうなら「味音痴のW桜サンド」だったね。今さらです。

最近インフルエンザが流行っていますが皆様大丈夫でしょうか。
我が家は今のところみんな無事なのですが、先日小学校の授業参観に行ったら娘のクラスの担任の先生がインフルエンザで授業参観が自習でしたwwww
自習風景見てても、ねえ。
先生はもう熱が下がってるんだけど、医者の治癒証明が出ないと出勤できないんだとか。
当たり前と言えば当たり前なんだけど、私が子供の頃よりここ数年でより一層社会全体が規則とか罰則とかルールとか常識とかでがんじがらめになってる気がしますね。
熱が下がりゃいいじゃんとか、周りに移したら移された方が運が悪いんじゃんとか、今だと横暴な考えな気がするけど、少し前まではこんなにうるさくなかった。
「熱が引いてから何日間はダメ」とか、そんなの人それぞれじゃんwww元気な奴は元気だよ。
なんだか日本が自分で自分を守ろうとして窮屈な社会になってます。
あれはダメ、これもダメっていうルールで社会が守られていると言えばそうなんだけど、わずらわしいと思うときもあります。
規則罰則だけじゃなくて「こんなこと普通はしないよね」とか「普通はするよね」みたいな、暗黙の了解があちこちにあって、私自身も外では「無害な人」を演じているからなるべく他人様に迷惑かけないように生きてるつもりですが、そんな自分がとてもつまらない。縮こまって生きてる感じ。
AKYを貫き通すような神経の図太さがうらやましくて・・・そういうの目指そうかな?
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by ookuma-koguma | 2015-01-28 12:43 | イラスト・リクエスト | Comments(0)

落書き①

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「子供じゃありません。おろしてください。」
「HAHAHA、このナリで一人前だなんて誰も認めちゃいないんだぞ?」
「あなただって国土が広いだけでまだまだ二流国家じゃないですか。大英帝国様とは比べ物になりませんよ。」
「・・・・・!!」 ← 一番言われたくないこと言われた
日英同盟時代の日露戦争前くらい


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「あれ?桜、ちょっと太った?」
「!? ふ、太って・・・ないです。」



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「俺はいいけどさ、君、明日の朝早いって言ってなかったかい?」
「らいじょーぶです!ちゃんとおきれまふから!」



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「・・・最後痛かった・・・」
「痛かった?ごめんよ、途中から手加減できなくなっちゃって」




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「何言ってるんだい。批判タイムがあるのはイギリスだけだぞ?君は黙って俺に付いてくればいいんだよ。」
「・・・わかってます」


落書きだけならいくらでも描けますね。
忙しい時に限って余計に遊んでしまうっていう根性のなさは子供の時から相変わらずです。
とりあえず先に遊ぶだけ遊んで気は済みました。これから働きまーす。
本当は桜ちゃんの大破を描こうと思っていたのですが、ピクシブにかわいく色っぽく破れている桜ちゃんが投稿されていたので、それを見ただけでもう満足してしまいました。
やっぱり自分で描くより他人様が描いた絵のが萌えますな。
誰かもっとください。

ところで最近アル桜のマイ設定を「お互いがベストの相性だとは思ってないけど、いろんな事情で政略結婚させられた夫婦がなんとか上手くやっていこうとしている感じ」だなぁと思っていたら、アル桜を描き始めたかなり初期設定メモにすでに同じことが書いてあった。
これまで漫画でくっつけたり別れたりさせてきたけど、私の中ではこれといって進展はしてないらしい。
きっとアルフレッドだったらもっとパワーのある女の子じゃないと持たないし、桜ちゃんはもっと穏やかに分かり合える人の方があってるはず。
というわけで、結論は朝桜ということです。
でも俺は朝桜は描かねえよ。だってピクシブにいっぱいあるからな!べははははは!
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by ookuma-koguma | 2015-01-23 14:43 | 落書き | Comments(0)

リクエストありがとうございました!

若草さん、リクエストありがとうございました。
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「アル桜でほのぼの」
ほのぼの…?
というかなんかちょっと違う感じになりました。
始めはちゃんと服着せるつもりだったんですが、なんか描いているうちに「これ、もう着てなくていいんじゃね?」ってなってきて、途中からほのぼのの趣旨を忘れて欲望に走っちゃいました。
こんなんでよろしかったでしょうか?
同じ絵でお名前を抜いたものをピクシブにも投稿させていただきました。
実はこのブログ、訪問者が限りなくゼロに近くてですね、覚悟はしてたのですがやっぱりちょっと寂しくなっちゃったのでピクシブに宣伝ポスター代わりに貼っておこうかと。
でもでもホントは若草さんのために描いたんです!
ホントに(;´_ゝ`)

引き続きリクエスト受け付けております。
クオリティはこんな感じで期待できませんが
それでもよろしければコメント欄からお気軽にどうぞ。

ところでジャンプラ読んでるとヘタリアって主人公アメリカに代わったんですね。
うん、いい。それでいい。
毎回アメリカの笑顔に撃ち抜かれます。
あっけらかんでもないし、ただ笑っているだけでもないし、なんとも言えない笑顔なんだよね。
今日描いた絵も実はあの感じを目指して描いたんだけど、うーん、遠く及ばなかった~。

22日からブログでクリスマスの続きと大破!?
ほらやっぱり!!ここで待ってれば順番に破れていくんだって言っただろ!!
体操座りで待ってます。
アメリカ早く破れろ!
誰から順番に破れていくかわかりませんが、なるべく早めに破いてください。
じらされると気が気じゃなくて日常生活に支障をきたしますので。
できれば女の子たちも破いてほしいけどにょたりあまでは順番回ってこないだろうな~。桜ちゃんは自分で破くしかないか・・・。
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by ookuma-koguma | 2015-01-20 13:36 | イラスト・リクエスト | Comments(2)

ダブル桜の味音痴サンド

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本家様の大破ショックはあのまま「ごめんな祭」みたいにみんな順番に大破していくんですよね?
それからMMD見てると自分がドMなのを自覚しますな。
これはなかなか抜け出せません。
誰だよ最初にプロイセンにムチ持たせたの。
天才かよ。
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by ookuma-koguma | 2015-01-14 01:21 | イラスト・リクエスト | Comments(0)

冬のばばこめ

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桜「風が出てきたから、ちゃんと閉めて?」
アル「…っ!さ、寒くなんてないよ暑いくらいなんだぞ!」
桜「どうして?」
アル「どうしてって…しっ知らないよそんな…こと…//////」

ところでヨーロッパが不穏な空気ですね。アメリカもいろいろありますね。
誰も見ていないブログとはいえ文字にするのはどうかと思いつつ、それでも思うこと。

イスラム教は本来は穏やかでとても真面目な教えなんだそうです。
彼らをこんなに過激にさせたのは一体誰なんでしょうか。
フランスさんは被害者ヅラしていますが、イスラム国からすればこれは「復讐」
欧米から出される情報によって、私たちが目にする新聞やニュースではイスラム国が悪であるというイメージを植え付けられています。
どちらが正しくてどちらが正しくないかと言えば、人を殺しているのできっとどちらも正しくない。
単純に計算して9.11の後、民間人をたくさん殺してきたのはイスラムか欧米か。
ニュースを見ていると、まだ私が生まれていない75年前に、日本はこうやって欧米によって「悪」を押し付けられていったのかと想像できます。
今、また似たようなことが起きているんじゃないですか?
大国は戦争の大義名分が欲しいために弱小国にちょっかいをかけてるんじゃないですか?
原子爆弾の研究所があったロスアラモスを国立歴史公園に指定するとかしないとか。
こうやって原爆のイメージアップをしておいて、また使うんじゃないですか?
キリスト教でもイスラム教でもない日本に何かできることがありますか?

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by ookuma-koguma | 2015-01-13 15:15 | イラスト・リクエスト | Comments(0)

本田菊の西洋事情

あけましておめでとうございます
年末でピクシブは戸締りしてきました
これからはこの誰も見ていないブログで一人静かに萌えを吐こうと思います
ピクシブを見ているとツイッターで上げたイラストを「ツイlog」としてまとめて投稿している方々がいて、二次創作界はピクシブからツイッターに時代が移っているのねぇと思いつつ、その流れに逆行して今時ブログに引きこもる私
ピクシブは匿名とは言え公の場なので、自分では気にしていないつもりでも投稿する絵にも気を使っていたんですかね。

最近、福沢諭吉の自伝『福翁自伝』を読んだのですが、これが面白くってたまりません。
福沢諭吉はペリー来航後の安政6年に咸臨丸(かんりんまる)でアメリカに渡っています。その後ヨーロッパにも渡っていろいろな経験をしています。日本ではその頃尊王攘夷論の真っただ中で「異人なんかに負けるもんか!片っ端から切り捨てろ!」な風潮でしたが、実際に西洋を見てきた福沢先生は「こりゃ日本は西洋にとてもかなわんわ~」と実感していたので開国論者でした。
その『福翁自伝』のアメリカとヨーロッパ各国での出来事がなんともかともヘタリア的で、それぞれのお国の方のキャラが出ているので「これはヘタリア化するっきゃない」と思い、福沢先生を菊さんの語りにして内容をご紹介したいと思います。
・・・のんびり書いてたら結構長くなってしまいました。

アメリカ編
私、本田菊はこの度アメリカ行の咸臨丸(かんりんまる)にツテでなんとかもぐりこむことに成功しました。幕府のエライさんの荷物持ちとしてですが、別に誰の荷物持ちだっていいんです。ただアメリカに行ってみたかっただけなのです。
それにしても我ながら日本がすごいと思うのは、そもそも初めて日本人が蒸気船を見てから7年、航海を学び始めてからたったの5年でアメリカ人の手を借りずに日本人だけで出帆しようと決断したこの勇気というか大胆さ!たった5年の航海術で太平洋を渡り切ろうとするその事業はまさに偉業というべきでしょう。
航海中の測量もアメリカ人の助けを少しも借りることなく私たちですべて行いました。
日本人も捨てたもんじゃないと思いましたね。
ちなみにこの咸臨丸には坂本竜馬や江戸城明け渡しで有名な勝海舟先生も乗っておられましたが、彼は航海中ひどい船酔いで一歩も部屋から出てこれらず、なんともお気の毒でした。
はてさてそんなこんなで海上つつがなくサンフランシスコに到着しました。

菊「わぁ、たくさんの人々が港で歓迎してくれています。私の人生こんなに誰かに歓迎されたことはありません。感激です」
アメリカ「おおーい!にほーん!!」
菊「おお、あなたはミスターアメリカではないですか!」
アメリカ「日本、遠くまでよく来たね!こんなに早く君が俺の国に来てくれるなんて思ってなかったよ!」
何でしょうかこの歓迎ぶりは。もっと嫌われていると思っていました。ペリー提督が浦賀に来た時は玄関の戸を蹴破って銃口を突き付けながら「カイコクシテクダサーイ」なんて言われて正直「鬼が来た!」としか思っていませんでしたが、アメリカの国民の皆さんはずいぶん雰囲気が違いますね。確かにアメリカ人が初めて日本を開国させてその日本人がアメリカに来たわけですから、たとえば自分の学校から出た生徒が出世して恩師のところに戻ってきたというような嬉しさなのでしょうか。ともかくどこへ行っても至れり尽くせりです。

アメリカ「ヘイ日本、君たちは肉より魚を食べるんだろう?どうだい?魚料理をたくさん用意したよ」
アメリカ「ヘイ日本、君たちは毎日風呂に入るんだろう?君がここにいる間毎日風呂を沸かしてあげるから風呂に入りたいときは遠慮なく言うんだぞ!」

初めてのことばかりでずいぶん恥ずかしいことも経験しました。まずあのシャンパンとかいう酒の徳利の口を開けるだけで恐ろしい音がするのはなんとかなりませんかね。動悸が止まらず乾杯どころじゃありません。あと、吸い殻入れが少ないので吸った煙草を捨てられずこっそり着物の袂に入れておいたら煙が出ました。危うく火だるまでした。
あとこちらの紳士淑女が行うあのダンシングというものはなんとも妙な風でして、座敷中を男女が飛び回るその様はどうにもこうにも可笑しくってたまらないのですが、笑っては失礼なのでお尻をつねって笑いをこらえてそのダンシングとやらを拝見しておりました。

菊「そういえばアメリカさん、アメリカ建国の祖ワシントンの子孫は今どうされているのですか?」
アメリカ「ああ、ジョージかい?ええと確かジョージには一人娘がいたけど、彼の子孫が今どうしているかはちょっと俺は知らないなぁ・・・」
菊「えっ!・・・でもワシントンは建国の祖ですよね。その子孫ですから今でも何かもっとこう大事にされているんじゃないですか?」
アメリカ「う~ん、日本のトノサマと違って大統領は4年交代だし世襲じゃないからね」
菊「なんだか不思議な気がしますね。徳川の時代が長すぎてその感覚がつかめません」

アメリカ「ところで日本、せっかくだから記念に写真を撮らないか?すぐそばに写真屋があるんだ。俺が撮ってあげるよ。」
菊「え?写真とはあれですよね、ふぉとぐらふですよね。いいんですか?いやぜひお願いします。」
アメリカ「はい、じゃ、その椅子に座って。HAHAHA!ほらもっと笑顔、笑顔!顔が引きつってるぞ!」
エミリー「ねぇ兄さん、変わったお客さんが来てるって聞いたんだけど・・・」
アメリカ「おお、エミリー!いいところに来た。君も日本と一緒に撮ってあげるよ。日本もひとりで映るよりこっちの人間と一緒の方がいい思い出になるだろ?」
菊「おおお、アメリカンのレディです!あああ、いいんですか?こんな爺と一緒に写っていただけるんですか?」
アメリカ「エミリーは俺の妹なんだよ。」
菊「ほお、妹さんですか。これはこれは。は、はうおーるどあーゆー?」
エミリー「15よ。よろしくね」
菊「15歳!15歳でこの大人っぽさですか!?いつまでたっても子供のような私の妹とは大違いです」
アメリカ「はい、いくよ!こっち向いて!」
(この福沢諭吉がアメリカ人女性と撮った写真は「福沢諭吉 アメリカ 写真」で画像検索するとすぐに出てきます)

 アメリカさんは非常に良くしてくださいました。咸臨丸をドッグに入れ修繕までしてくださったのにその修繕費用をお支払しようとしても受け取ってくださらないほどです。とても気のいい好青年でした。そして私は貴重な英語辞書を2冊手に入れました。これこそ日本に初めて持ち込まれる英語辞書であります!これで英語を一生懸命勉強します。
なんとも楽しいアメリカ視察の旅でした。

ヨーロッパ編
その数年後、今度は幕府の人間としてヨーロッパへの視察に同行しました。

フランス
菊「とにかく西洋では食事に不自由しますからね、白米をたらふく持って行ってやりましょう。人任せでは何を食わされるかわかったもんじゃありません。ああそれから夜暗いから行燈、提灯も忘れませんね、それとお釜とおひつと七輪も持って行ってやりましょう。うわすごい荷物です」
フランス「日本、よく来たね。まずはお兄さんの歓迎の気持ちを込めてフランス料理のフルコースをご馳走しよう」
菊「び・・・美味でございますぅ~!!」
菊「フランスさん、外は寒いはずなのにどうしてこの建物は暖かいのですか?」
フランス「ああ、このホテルは暖かい空気が循環するように作られているんだよ。部屋も廊下もガス灯が灯っているから不便なことは何もないよね?」
菊「・・・大変お恥ずかしいのですが、私めがはるばる日本から担いできた大量の白米と行燈や七輪、どなたか買い取ってくださる方はいらっしゃいませんか・・・」

イギリス
イギリスではアーサー・カークランド卿がヨーロッパの歴史や社会の仕組みなどを非常に丁寧にご教授くださいましたが、長らく外交をサボり平和ボケして暮らしていた私にはヨーロッパの戦争の歴史はなかなか難しく、一生懸命メモを取っておりましたがいったいどこまで理解できたのか怪しいものです。
ただ渡欧中どこの国でも非常に親切にしていただきまして、今の日本では欧米列強の政府が日本に開国を迫り、日本の弱みに付け込み無理難題を仕掛けて正直困っておりますが、その本国に来てみれば皆さんとても良い方ばかりでますます開国の意志を固めた次第です。

オランダ
各国巡回中、待遇が最も細やかだったのはなんといってもオランダさんです。
なんせ300年来の付き合いですのでまさにツーカーの仲でして、私もまだこのころは英語より蘭語を得意としておりましたので非常に居心地がよく、第二の故郷に帰ったような気でおりました。

菊「ところでオランダさん。このアムステルダムの土地は売買できるのですか?」
オランダ「そんなん出来るわ。」
菊「え?外国人にも売るんですか?」
オランダ「銭次第で誰にでも売ったるわ。」
菊「え?え?ではもしかしてここに外国人が土地を買い占めて城や砲台を作ってしまってもいいんですか?」
オランダ「は?ほんなこと今まで考えたこともないわな。いっくらイギリスやフランスの金満家がおってもよその国に砲台作るようなバカはおりゃせんやざ」
菊「いや、でも・・・」
オランダ「ほんだら爺さん、ここ売ったるで砲台たててみ。」
菊「はぁ・・・。」
オランダさんの銭次第でなんでもやる姿勢はやはり本国に帰っても変わりませんね。というか、今までよく出島で大人しくしてくれていましたね。

ドイツ
菊「実は私、非常に恥ずかしいのですが血を見るのが何よりも怖い人間でして、それ以外のことでしたら鬼でも幽霊でも高所でも怖いと思ったことがないのですが、とにかく血や死人などはどうしても見ることができません・・・って今ちょうどドイツさんのところで西洋医学の視察とか何とか言って外科医の手術を見せられているのですがああああもうおおおおそんなナイフであああああうわうわ血が血が出てますいっぱい出てます血がああああ・・・・・」
ドイツ「おおい、兄さん!病人ひとり追加だ。」
プロイセン「なんだコイツは。血ぃ見ただけで気絶しちまいやがったぜ。先が思いやられるな。」

ロシア
最後はロシアです。ここでも非常に良くして頂いて大変ありがたいのですが、どうやらヨーロッパの他の国とは少し雰囲気が違うようで落ち着きません。なんなんでしょう、薄ら寒いこの気分は。

ロシア「ねえ日本君。君さ、このままロシアに住まない?」
菊「え?いや、私は視察できているだけですからそれは難しいですね。」
ロシア「どうしてかな?そんなの簡単だよ。君がその気になってくれれば僕が上手に隠してあげるよ。ねぇ、君もロシア人になっちゃいなよ。きっと楽しいしお金持ちになれるかもしれないよ、うふふふふ・・・」
菊「ふひゃぁ、ちょっと待ってください待ってください!私は日本人ですから帰りますよ、帰ります、帰してください、ねえちょっと怖いですロシアさんやっぱり怖いですってば!」
ああ、怖かったです。やっぱりロシアの方は何を考えているかよくわかりませんね。アメリカに行った時もこちらヨーロッパのイギリスやフランスでも国民の方で少し仲良くなった方は「日本に行ってみたい」「日本に仕事はあるか」「お前が日本に帰るときに一緒に船に乗せてくれ」なんて言われたことが何度かありましたが、ロシアに来てロシア人になれと言われたのは初めてでした。これが商売上の話ならまだいいのですがどうもそうじゃないようで、政治上、国交際上の意味を含んでいるようでそれが実に恐ろしく気の知れない国でした。

帰国
菊「なんとかヨーロッパからも無事に帰って来られました。そうだ、久しぶりに実家に顔を出しましょうかね。ここんとこずっと妹をひとりで家に待たせっぱなしで便りをやるのもすっかり忘れておりました。」
菊「ただいま~」
桜「・・・!?お兄様!ご、ご無事だったのですか?」
菊「ああ、しばらく便りもせず悪かったな。この通り元気で帰ってきたよ」
桜「元気で帰ってきたよじゃありませんよ!お兄様があんまりにも音沙汰がないから「菊はアメリカで死んで塩漬けにされて江戸に戻ってきた」って村じゅうでウワサになってますよ!」
菊「・・・・・遺憾の意」


『新訂 福翁自伝』 (岩波文庫) 福沢諭吉著
古い言い回しが慣れるまでややこしいけど、ヘタリア化すればどんな本でも読めます。
幕末から明治維新、文明開化の空気がよくわかります。『学問のすすめ』と一緒にどうぞ。
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by ookuma-koguma | 2015-01-07 15:26 | ヘタリア | Comments(0)